博士一周年!

ちょうど一年前の今日12月4日、ウィスコンシンのマディソンの雪の降りしきる朝、自分は大学の演劇学部会議室で博士論文の最終口頭試問を受けていた。凍りつくような寒い朝、極度の緊張で臨んだディフェンスだった。約300ページにわたる論文について、ニ時間におよぶ質疑が投げかけられ、それに対して自分の論文を守る、つまりディフェンスするのが最終口頭試問だ。ついに質疑応答が終わり、教授に「それではこれから最終審査をするので、呼ばれるまで退室していてください」といわれ、審査室の部屋を一人で退室する。審議委員メンバーの担当教授5人が中で論文の合否の是非を相談している。ディフェンスの緊張はとけたが、やはり結果が気になる・・・・時がゆっくりと過ぎてゆく。
やがて15分くらいしてから教授に再び呼ばれ、部屋に入る・・・・・五人の教授達の視線を一手にうけて入室。第一声! ”Congratulations, Doctor!” (「おめでとう、博士!」)担当教授が握手の手を差し伸べてくれた!!「お、終わった!!・・・ついに・・・五年半の道のり・・・・」。嬉しさよりも脱力感が先に全身を駆け巡った。だが、その次の瞬間、もう一人の教授が言った「あなたの論文はpredicate of excellence とともに受け入れられました!!」・・・・「はっ???」ううううう・・・・、博士と呼ばれた次の瞬間その意味がわからず、一瞬たじろいだ・・・
そんなのわからねえよ(これ、もちろんこころのつぶやき)・・・・、と、するとすかさず、もう一人の教授が”Takeo, it’s something very good, don’t worry!!”(「タケオ、心配するな、非常にいいことだよ!!笑」)・・・・つまり自分の論文が優秀論文として受け入れられたということらしい。一瞬だじろいだが、もうそんなことどうでもよかった。(もちろん嬉しかったが)とにかく、論文が受け入れられた、そのことが全てだった。
妻が事前にシャレでTシャツを用意してくれていた。その黒いシャツの胸には”Trust me, I am a doctor!”(私は博士だ!) と白い字でかいてある。これを上着の下に着て、博士論文合格の折に上着を脱いでみせる・・というはずだったが(笑)さすがに、そのガッツはなかった(涙)
とにかく、あれから早一年が過ぎた。どんどん時間が過ぎてゆく。泣いても笑ってもひたすら時間が流れてゆく。人生の半分は葛藤の連続のうちに過ぎてしまったようだ。諸法無常、常ならざるものとして常ならざる世に生まれ、同じ時間が流れるのならば、コップ半分の水をhalf empty と見るよりもhalf full と見たほうが得のような気がする。(つまり半分しかないのではなく、半分もあると見るのだ!)ものの見方次第で人生が変わる。そんな気がする。地獄のあとに天国がくる。でもそんな天国でもその常ならざる事をいつも意識していなくてはならない。これが今自分の携帯メールのアドレスになっている。and, this too shall pass!! (やがて、これも過ぎ行くものという意味)。注:携帯アドレスはこのままではありません!!(ちなみに写真はそのウィスコンシン大学の演劇学部の廊下を歩いている息子です)

2007-12-04 04:41 | 学位 | コメント

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