池田市民文化会館にて

 

大阪は池田市にて某高等学校の芸術鑑賞会にお招き頂いた。仕込みの際、そのステージの高さと客席の高さが気になり、念入りに確認したところ、やはりサイトライン(観客席からの舞台への視野)が思わしくなかった。マイムは特に視覚芸術のゆえ、このサイトラインが命取りになる事がしばしばあるのだ。どうも前列の観客の頭に遮られて演者の上半身しか見えていないのだ。時間があったので、会館の関係者の方々にお願いしてステージの大部分に平台を据付け、舞台の高さを調整した。もちろんこれは大変な仕事なのだ。カンジヤマのスタッフ、出演者一同、みな本番前に汗びっしょりかきながらステージの高さを満足なものにすべく頑張ってくれた。会館の方々が非常に理解のあられる方々で心より感謝!!

写真のような平台の上から演者の足元が見えるよう確認し、本番に臨んだ。生徒さんたち、みな素敵な笑いと真剣な眼差しで90分を過ごしてくれた。大変満足する結果が得られたのも会館のスタッフの皆さんのおかげと感謝している。このように一回一回違った環境のもと、その環境に見合う公演をすべくステージの様々な要素に気を使っている。例えば空調の温度。これもまた重要な要素なのだ。特に若者は自らがものすごい体温。会場は自然と熱くなる。従って本番前になるべく普段より低めの温度設定をお願いしている。席の配置、これもしかり・・・舞台が始まってしまったらこういった要素は変えることはできない。みな本番前の真剣勝負なのだ。(写真は本番前の舞台を点検するカンジヤママイムAとB)

2013-06-12 11:51 | 公演 | コメント

末広亭楽屋にて

新宿末広亭での寄席出演が続いている。寄席によっては楽屋が噺家さん達と一緒の所と、別々になるところがあるが、ここ末広亭は一階が噺家さんの控え室、そして二階が色物の楽屋となっている。今回は出番が近い為によく、林家ぺーさんとお話しをさせて頂く事が多くなった。15年以上前は上野にも随分ちょくちょく出演されていらっしゃったのだが、最近はあまり寄席は多くないらしい。それにしてもその記憶力は流石だ。様々な芸人さんのお名前が出るたびにその年月日を覚えていらっしゃるのだ。今週金曜日、ぺーさんはその芸名とひっかっけて吉祥寺のRock Joint GBにてオッペケペー節に乗せて様々なネタをされる予定でいらっしゃるらしい。(「平成オッペケペーlive」=開演19:00。問合せ:0422−23−3091)。川上音二郎のオッペケペーである。自分が川上音二郎を知っているのにぺーさんが驚かれていらっしゃったのだが、おそらく今の若者はほとんどその存在すら知らないのが現状だろう。今日はこの川上音二郎の話に楽屋話の花が咲いた。

オッペケペー節の川上音二郎。、実は川上音二郎とはこのオッペケペー節意外にも様々な先駆者的な顔を持っており、その分野の多彩さには脱帽したくなるほどだ。彼は自由党壮士であり、いわゆる壮士芝居をその生業としていたのだが、もともとは歌舞伎一座に加わったり、落語家として様々な寄席で例の「オッペケペー節」によって自由思想を謳っていたようだ。

彼のその奇を衒った手法は世の中をあっと言わせ、そして様々なブームを作り上げてきた。まずは古来の歌舞伎しか知らなかった日本の演劇界において「改良演劇西洋美談、斎武義士自由の旗揚」というものを明治20年頃に演じ、その斬新さを披露しようとしたことに始まり、日清戦争が始まると、その状況を劇化して伝える戦争劇、そして海外公演、帰国後の西洋劇の移入とシェークスピア劇連続上演による正劇運動(この正劇とはもともと森鴎外が言い始めたのだが、これに音二郎は飛びついて、様々な改良を目玉に大流行を起こした)、そして女優学校開校にいたり、はてまた児童劇興行と、その先駆的な実行力は常に流行を先取りし、日本の演劇の近代化に少なからず(様々な意味で)貢献した。

河竹登志夫先生によると、「一連の正劇の最大の史的意義は、内容の低さ粗雑さのゆえに、シェークスピアないし、西洋演劇のもっと真面目な、芸術的な移入への要望が、識者の間に高められたことではないだろうか」(『近代演劇の展開』より)

確かに坪内逍遥の日記やら著述を紐解くとき、上記の真実味が感じられる。学者であり、物事の細部の正確さに拘わる坪内逍遥が、そのいい加減さに腹わたが煮えくり返る思いをしていたのがそこここの文章に現れているのも面白い。このあたりから坪内のシェークスピア研究やら上演に急に積極的になるのもそれを証明しているように思える。人は様々な役割を歴史の中で演じているのをつくづく感じる。

(写真上は末広亭楽屋にて林家ペーさんと。下は川上音二郎)

2013-06-06 01:35 | つれづれなるままに | コメント(3)

名古屋へ、そして末広亭へ

名古屋の市民会館にて某女子中学校の芸術鑑賞会にご招待頂いた。とても素直な生徒さんたちだった。終演後、演劇部のメンバーたちによる質疑応答の集まりがあり、いろんな質問をいただき、こちらもかなりハッスルしてお答えした。やはり若さは凄い。ただ、日本の学生演劇はどうも日本の中の情報だけで、なかなか、海外に目を向けることがないので惜しいと思った。若い頃様々な実験に接することは後後の演劇的な創造力の幅を広げることになる。そう、ちょうどイギリスのエリザベス朝の演劇の土台をつくったユニバーシティーウィッツ(大学才人)達のように学生時代に見聞き、経験したものがその後の爆発的な創作力を養うことになる。シェークスピアがロンドンに来た頃にはこうした大学才人達の意欲的な創造性に満ちた作品が巷に満ち溢れていたという。このような土壌なしにシェークスピアの作品は不可能であったとさえ言われる。是非、日本の一生懸命な学生たちにこういったような土壌を作ってもらえるよう、もっと情報を与えられるような機会を作ってやって欲しいと思った。

さてさて、六月にはいり、いよいよ22日の鈴本の公演まで三週間と迫ってきた。チケットも順調に売れている。みなさん、売り切れる前にチケット是非ご購入くだいね!!今日一日から十日まで(月、火は大学の為代演)は新宿末広亭の寄席(夜の部)に出演する。久しぶりの末広亭だ。そして、月曜日までに大学の中間試験問題作成、点検を終わらせねばならない(汗)

(写真はトーマス・キッドのスパニッシュトラジディー;スペインの悲劇:劇中劇、亡霊、復讐、などの要素がふんだんに盛り込まれており、これがシェークスピアのハムレットのネタ元になっているとも言われる。)

2013-06-01 02:15 | つれづれなるままに | コメント