長崎にて

 

 

 

文化庁の派遣事業で長崎を訪れた。前日に入り、市内を巡る。まずは眼鏡橋を訪ねた。橋のたもとに立ち黙子如定(もくすにょじょう)の像に向かい、思いを馳せた。この僧によってこの橋の技術が伝えられたのだという。この僧は長崎市寺町にある、日本最古の黄檗宗の寺院でもある、興福寺の第二代の住持でもあった方である。このように日本古来の建築物を始め、様々な技術、知恵が中国僧、あるいは中国から帰国した留学僧によって我が国に伝えられている。仏教伝来と共に伝えられた知識、知恵は計り知れないくらい日本文化にインパクトを与えている。一体いつごろからこのような素晴らしい関係が崩れてしまったのだろうかとつくづく思った。イデオロギーとは恐ろしい現象である。宗教心のない、人間愛のないイデオロギーとは単に人間の強欲を煽り、最終的には弱者を踏み台とした独裁に終わることを歴史が証明している。(写真は眼鏡橋とそのたもとに建立された黙子如定の像)

 

 

 

この後、長崎新地中華街を訪れ、地元の人に教えてもらった美味しいチャンポンの店というのを訪ねた。今まで一か月間、一切のカロリー食を絶ってきたので、この日は特別にちゃんぽんを食べた。美味しかったがすぐに満腹になってしまった。習慣とは恐ろしい。今までなら足りないはずの量なのに!!

翌朝、そのチャンポンのカロリー消費と息子へのメッセージの為に、ホテルから平和公園までの往復8キロを走った。このランニングは黙祷の走りだった。初めて訪れた爆心地の公園と平和の像の前で般若心経を唱え、しばらく黙祷し、写真を撮って、息子へメッセージと共に送った。戦争は少しもかっこよくないよ。始めるのは偉い人だが、最後に悲しみ、苦しむのは何の罪もない一般の人々だから。子どもたちであり、その親だから。・・・だからそういう思いを経験した人々の気持ちを決して忘れてはならない。だからこそ、私たちのような戦争体験者の語りを直で耳にしている世代がこれを確実に語り継がなくてはならないのだとつくづく感じました。

その日の午後、地元の中学校で公演をしました。素敵な笑顔の若者たちだった。心から楽しい舞台ができた。こんな素敵な仕事が毎日できるのが幸せだ。感謝。心より。

 

 

 

2014-06-24 10:21 | つれづれなるままに | コメント(2)

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