川柳の力!

自分は以前から「マイムとは身体動作による川柳」であり、「川柳は言葉のマイムである」と公言していた。(但し、自分は言葉のマイムに於いては全く才能がない事を自覚している!涙) そしてこの言葉のマイムの本当の威力を最近思い知らされることになった。

母親が米寿を迎え、昨今身体の節々の痛みやら高血圧、そして短期記憶の衰退に悩まされており、自信を失いつつ、次第に愚痴と寝込みの憂鬱な日々が続くようになった。息子として何をどうしたらよいのか随分努力はしてきたつもりなのだが、中々効果は見られない。元気な年下の人間からの励ましの言葉には苦しみに対する現実感は無く、慰めの力はないのだろう。そんな母親が最近かなり機嫌が良くなったのに気づいたのだ。聞くと友人に勧められた川柳の本「シルバー川柳」なるものを読み始めたことに因るらしいのだ。

「ちょっと、ちょっと面白いから聞いてご覧なさいよ!近所のご夫婦も読んで自分の事だと笑い転げていたらしいわよ!」と電話口にその本を持ってきては、お気に入りの川柳を得意げに読み上げ、そしてゲラゲラと笑っている母親。そんな母親は久しぶりだった。嬉しいのと同時に、これはすごい威力だ!と感動した。つまり加齢、老いを自嘲しながらも、その笑いには「私だけじゃなかったんだ!、そうか皆お年寄りは自分と同じ経験しながら、それを笑いにも転換できたんだ!」という発想が湧いているに違いない。そしてそれが勇気となっているのだろう。それが証拠に、母親は家に来るお客さんには毎回それを読みながら一緒に笑い転げ、そして親類の家々には「面白いから!」といってその本をプレゼントしまくっているのだ(苦笑)

聞いてみるとなかなか鋭い句もたくさんある。「起きたけど、寝るまでとくに用事なし」、「デジカメはどんな亀かと祖母がきく」、「LED使い切るまでない寿命」、「なぁ、お前 履いてるパンツ俺のだが・・・」、「お迎えは どこから来るのと 孫が聞く」・・・

母親も父親が生前風呂に入っていたときの事を思い出し、笑いながら読む。「湯加減をしょっちゅう聞くな ワシャ無事だ」(苦笑)

そして中には私の年代にも既に通用するような句も・・・「万歩計、半分以上は探し物」

「笑い」という処方箋は医者ではあまりくれそうにない。そして西洋医学の薬には必ず副作用があるという。だとしたらまさしく川柳は副作用のない安全かつ優れた老いの憂鬱に対する民間療法ではないだろうか?こんなマイムをやってみたい。

 

2013-05-22 09:39 | ひとりごと | コメント(9)

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