出版記念パーティとパネル講演会

昨日は昼から東大の福武ホール内ラーニングスタジオにて同志社女子大学の上田信行教授の出版記念パーティがあり、参加した。この福武ホールとはベネッセコーポレーションが莫大な出資をして、安藤忠雄氏の設計によって2008年3月26日に竣工した教育研究開発のためのホールで、赤門から入ってほどない所に位置している。
出版というのも実にユニークなノートの出版で、「プレイフルノート」と名づけられた断片的な「浮遊する」?アイディアを所々に「バインディング」して綴じたもの。再生紙のような紙のほとんどは白紙ではあるが、ちゃんとアイディアの部分にはページナンバーが打ってあり、論文引用?も可能になっているという。言ってみれば、創造性触発ノートのようなものだ。
最初は軽い気持ちで誘われるがままに参加したのだが、「やはり、来た!」(苦笑)・・・「それでは参加者のカンジヤママイムさんに短時間で少々ワークショップをしてもらいましょう!!・・・単なるお客さんではいられないとはある程度は予測し、覚悟はしていたものの、いきなりの「フリ」に少々あせりながら普段やる「アイスブレーキング」ゲームを紹介する。参加者は30名くらいで、それぞれ出版業界、広告業、教育関係者など多様な構成だ。
休憩中に上田教授に「カンジヤマさん、あなたなら、このアイディアを本などに綴じるという発想を英語でどのように表現しますか?」と問いただされ、とっさに思いついたのが芸術のシュールレアリズムにおける異物の並置という発想だった。つまり”Juxtaposition of disparate objects” 互いにそれぞれ個々ではそれほど特別な意味合いをなさない、一見関係がないものを並置することによって、それが人々の潜在意識を抉るようなインパクトをあたえることがある。(ダリの絵をみればわかるように!)この「並置」を示すJuxtapoisitionという言葉が直感で浮かんだ。同じ土俵に異物を乗せてその相乗効果による化学反応を楽しむ。そんな発想が満ち溢れたパーティーだった。
その後、偶然にもまたまたベネッセが絡んで朝日新聞社と提携で開催したパネル講演会を有楽町に聞きにいった。題して「教育格差をどうする」・・・参加者は杉並区和田中学校元校長の藤原和博氏、漫画家の石坂啓女史、御茶ノ水女史大学教授の耳塚寛明氏、そして朝日新聞社の氏岡真弓女史の司会。ベネッセと朝日新聞社が共同で行った2003年と2008年の児童を持つ母親の意識調査に基づいたデータをベースとして明らかになった格差の教育への浸透についてそれぞれの立場でさまざまな意見が出された。前々から「夜すぺ」(夜のスペシャルクラス)とか「土テラ」(土曜寺子屋)という斬新な発想で話題になった、リクルート社から校長就任した藤原氏の発想が一段と光を放っていた。学校における教育方法において各校長にゆだねられた莫大な権限を強調され、「何もしていないほとんどの校長はその権限を何もしないということで無駄にしている」という意味合いのことを主張されていた。まさにそのとおりだと思う。保身のためか事なかれをプライオリティーとして何もせずに慣例にそって思考停止してしまっている校長がほとんどという世の中。テクノロジーがこんなに急激に激変する中で、子供たちの問題、諸条件、悩みなども従来どおりのわけがない!!何もしないというのは職務権の乱用に等しい。
藤原氏も驚いていたが、あれほど物議をかもした新しい和田中学の試みに自ら乗り込んで、自分の目でその真偽を確かめようとした校長が杉並区でたった一人だったという、もちろん全国の学校の校長もほとんどなにもしていない。なんだ?これは?校長たちに与えられた本当に大きな教育方法に関する権限がまったく工夫されずに慣例に盲目的に従うことにより、よりその生徒との距離が離れていくのは当然だと思った。ようするに子供の問題ではなく、大人たちの保身、事なかれ主義、そして私利私欲がこのような問題を山積させていることがはっきりわかった。
漫画家の石坂女史の発言もとても共感できる素晴らしいものだった。ん~、全国の校長さん、がんばりましょうよ!!新しいことどんどんやってみましょうよ!

2008-09-28 05:38 | つれづれなるままに | コメント

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