ジョン・ハーバードの嘘とワイドナー図書館と

昨年11月に公表されたイギリスのTimesの世界大学総合ランキングで見事その頂点にたったのがこのハーバード大学(蛇足ではありますが、我が国の東大は世界17位、京大は25位、そして慶応161位、早稲田180位)。たとえオックスフォード、ケンブリッジ大学(共に同立世界第二位)にその歴史では負けてはいてもその学問的質では負けてはいない。このハーバード大学の名称はジョン・ハーバードという大学設立当時の有力な後援者の名前から由来しているそうです。ハーバード氏は膨大な遺産により、現在のケンブリッジ一帯の土地を所有していたそうで、彼の祖国イギリスがケンブリッジであったことから、この土地一体の名前がケンブリッジと名づけられたとか。
ちなみにこのハーバード氏の像がハーバード。ヤードと呼ばれる大学の中心エリアにあるのだが、この像には有名な「3つの嘘」があります。「John Harvard Founder 1638」と像には記されているのですが、実は創立年が1638年ではなく、1636年である事。二つ目はこのハーバード氏がfounder, つまり創立者ではなく、後援者であると言う事。そしてこの像のモデル自体が実はハーバード自身ではなく、学生の一人であったという事なのです。(おい、考えてみたらこれってめちゃくちゃジャン苦笑)ちなみに、このハーバード像の左足にさわると頭が良くなって、将来ハーバードに入れると言う言い伝えがあり、この像の左足はぴかぴかに光ってしまっています(笑) 写真上は、息子とその像にて・・・もちろん、左足をスリスリさせました(爆)
この像に向かって右手にワイドナー図書館という世界最大級の大学図書館があります。ここでも自分はかなりリサーチをさせてもらいました。ハリー・ワイドナー(Harry E. Widener) というタイタニック号事件で死亡した卒業生の遺族の寄付金で建てられたそうです。彼は1907年の卒業、その5年後1912年のタイタニック号沈没に遭遇しました。この息子の死を悲しんだ母親のワイドナー夫人は、息子が卒業したハーバード大学に多額の寄付を行いました。この時、彼女は、一つの条件を付けました。それは、ハーバード大学に入学の際、水泳の試験を義務付けるということでした。亡くなった息子ハリーが泳げなかったためです。息子のタイタニックでに死をなんとか無駄にしまいとの考えでしょうか。 この水泳の試験は、その後長く、入学試験の科目として実施されてきました。しかし、やがて廃止されたそうです。 (写真下はワイドナー図書館)

2008-08-07 07:35 | つれづれなるままに | コメント(6)

ケンブリッジ

マサチューセッツ州ケンブリッジにやってきた。3年前、ABDの時代、初めての子育てを経験した町だ。ここからボストンの病院にいき、そして、息子の出生届けをボストンの市役所からもらい、日本の領事館に届けて、日本国籍の申請もした。
ところでABDって何?と思われる方の為に一応簡単な説明を・・・。All but Dissertationという状況をいいます。つまり博士課程において、履修科目をすべて終え、予備試験に合格し、あとは論文を書いて、口頭試問に通るだけの立場の事です。実はこれが一番つらい時期なのです。後は自分自身との戦い!!何しろ全てのスケジュールが自分次第、その日書こうが、休もうが自分の勝手。その上食べてゆかねばならない。多くの人々がこの状態で働き始め、そしてやがては論文をあきらめてゆく。自分の場合、妻がハーバードで講師をしていた関係で、ウィスコンシンから、ここケンブリッジのアパートに移り住んで、イェンチンライブラリーというハーバード大学の東アジア文献に特化した図書館に朝から晩まで篭もりながらリサーチを続けていた。(お断りしておきますが、決してこの間、妻の経済力にすがっていたわけではありません!!笑)
この期間、自分の体験から驚いた事の一つは、多くの場合日本の過去の資料(たとえば明治、大正の新聞など)を閲覧したりコピーする場合、ハーバード大学のようなアメリカの大学のほうが、日本の国会図書館や都立図書館よりも数倍効率がよいのである。日本の国会図書館は閉架式という事に加え、一度に閲覧を申請できる件数が3件まで。その上、本、雑誌、新聞、そしてそれらをコピー(これまた申請して待たねばならない!!)の場所がそれぞれに違う建物の違う階に散在しているのだ。つまり朝一番に入館して閉館まで一日中いたとしても本当に館内をうろうろしているうちにせいぜい数十件の閲覧とコピーで終わってしまい、足が棒になることしばしば。しかも今どき、コピー代は一部30円!!非効率極まりないのです。ちょうどたとえて言えば何百年かに一度「御開帳される仏像」のように、その図書館の態度は「見せてやるんだぞ」と言わんばかりなのです。一方ハーバードで例えば明治時代の新聞を閲覧しようとすると、その場所に自分自身で行き、勝手に自分でマイクロフィルムを取り出し、閲覧し、その機械で一部10セントでそのままボタン一つでコピー終了となる!!これでは日米の研究の量と質の差がでるのは当然だ!
まあ愚痴はこのくらいにして、久々に訪れたハーバード大学はいつもながら世界各国からの観光客でにぎわっていた。世界の頭脳が結集するこの学府はいつもながらにその伝統の風格を漂わせていた。(写真はイェンチンライブラリー)

2008-08-06 06:39 | つれづれなるままに | コメント(1)

アムハースト~ボストン

走行距離不明、とにかく走りに走った結果、ようやくマサチューセッツ州、ボストンに着いた。前回のブログに記した如く、途中私と同じくトニー・モンタナロ氏に師事した兄弟弟子にあたる友人の家に宿泊した。アムハーストというマサチューセッツの小さな田舎町だ。しかし、ここには全米トップのリベラルアーツカレッジとしてその名をとどろかせているアムハーストカレッジ(写真上)という超有名校がある街だ。全米の選りすぐりの学生が少数精鋭の教育システムの中でものすごい熾烈な競争をしている。前からこの大学を一目見てみたかった。とにかく地元の親の6割強がPhD(博士号)を所持するというものすごい教育地域だと言う事も聞いた。もっとも、この地域のみではなく、とにかくこのマサチューセッツという州は世界にその名をとどろかす、ハーバード大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめとする世界の優れた頭脳が集中する場所だ。この他にも例えばUSニュース&ワールドリポートの大学ランキングでみてみると、リベラルアーツ大学の全米トップ5の中に先のアムハーストカレッジを含め、ウィリアムズカレッジ、 ウェルズリー・カレッジと3校もの大学がランクインしているくらい最精鋭の大学が集中しているのだ。
このアムハースト大学の創設者の一人の孫にあたるのが、なんとかの有名な詩人、エミリー・ディケンソン(写真左下)であることを知った。ディケンソンの生家はアムハースト大学からほんの数百メートルはなれた所にあり、現在エミリー・ディケンソン博物館として一般開放されている

2008-08-05 09:44 | つれづれなるままに | コメント(1)