このところ本当に気になって仕方ない事が繰り返し起こるのでそれについて書いてみたい。先日ある方へのお礼にと全国の共通の食事券があることを知った。その食事券は全国の様々なファミレスやらその他のレストランで使用できるし、またその券自体もそれらの場所で買えるという触れ込みだった。ところが蓋を開けてみるとびっくりだった。まず周辺のファミレスなど片端から電話でその食事券の購入に関しての問い合わせをすると気味悪いほど同じような答えが返ってきたのだ。店員:「誠に申し訳ございません。店長が今いないのでわかりません。・・・」私:「店長意外の社員さんで誰かわかりそうな人いませんか?」店員「社員は店長だけです。」おいおいお~い、まさに過去いわれたマクドナルド商法で一店舗に社員一人(まさにこれが店長!)そしてその他はすべて非正規雇用。そしてマニュアル以外の想定外の用件に関してはまったく無知無力。
その後ある薬局へいって、某クスリに関しての質問をしようとレジへいった。その店員「今薬剤師の方がいないもんで・・・」おいおい、それって法律違反だろ? 他の薬局では薬剤師がきたものの(はたして本物かどうかは定かでない)私の質問に対してしたことといえば、必死にその薬の箱の能書きを読んでいる。「おいおい、能書きだったら自分で読めるよ!聞きたいのは貴方の意見、専門知識」薬局でもこうだからましてやコンビニ、その他たとえば旅行のツアーコンダクターからホームセンターにいたるまで同じような経験をなされた方は多いのでは?・・・・・とにかくこんなことが日常茶飯事に起きている。何だろうこのやり切れない思いは?一人一人が自分の仕事に誇りをもっていない。本当の責任を感じていない。全力を尽くしていない。いやそれは個人の問題ではなく、そう仕向けている社会の構造なのだろう。誰もがその場その場を一時的にしのぐような生き方をしているような感じがする。
あるいは大学の求職情報を眺め渡してもほとんどの求人は非正規雇用。つまり非常勤勤務。求人の職務においては大変な責任とクオリフィケーション(資格)を要求しているくせに待遇は非正規、あるいは任期付き。現在の全国の大学の授業の半数以上が実にこの非常勤講師によって教えられているのが現状だという。同じ講師が多い時では週5~6校のかけもちをしている。それらの講師が教える教科で学生は正規の単位をとるのだが、それらの講師は正規の待遇は受けていない。こんな構造で果たして自分のやっていることに本気になって誇りをもてるのだろうか? 一体こういう一時雇われ、しかも複数校に渡って教えている教師を集めて教えさせている日本全国の大学の個々のアイデンティティー(独自性)ってなんだろう。各大学にそれぞれのランキングがあるし、パンフレットを見ると必死に自らの大学の特徴、目標をさも誇らしげにうたっていはいるが、実は教えている講師は半数以上が非正規雇用のあらゆる大学間を行き来している掛け持ち講師。おまけに大学の職員さえも今はほとんどが非正規雇用。殆ど日本の大学は全国どこも講師や職員の内容は変わらないはずだ(苦笑)。変わるのはそんなことはつゆ知らずに入ってくる学生のモチベーションくらいだろうか・・・あとは大学名に付きまとうブランドイメージ?もっとも日本人にとってこれは大きいに違いない(苦笑)
こんな社会に生きていてここの人間がそれこそ命がけで誇りを持ってよりよい会社に、よりよい学校にと自己研鑽しようという気になるだろうか?非正規雇用、派遣が問題になって久しいがこれは経済問題だけでは済まない。国民全体のモチベーション、活気に直接つながる重大事項だ。今世の中はこんな無責任な雇用体系に満ち溢れている。そして何か想定外の事が起きるとそれに対処できずにいる。国全体がこんな状態で徐々に日本が衰退してゆく姿が見えてくる。自分の仕事、役割に本当に誇りがもて、日夜その組織の為、社会のために頑張れる動機がもてずにいる人間がいかに多いか。
アメリカに長年すんでいて一番感じたのがある会社にクレームを入れようとすると電話がたらいまわしにされ、結局時間がかかりすぎてあきらめる結果になる。ウォールマートなどの量販店の店員もほとんどやる気がない。みな専門性のないその場かぎりの人間が多かった。だが、今日本がまさに今こんな状態になりつつあるのだ。誰もちゃんと対処してくれない社会。だれも最後まで責任とらない世の中。ではそんな確実に衰退しつつある社会でなにができるのだろうか。理想を求めるアカデミアがこのような状態ではまさに亡国の一途をたどるのは避けられない現実かもしれない。そして子どもたちはしっかりそんな大人たちの背中を見て育つのだ。
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日本社会の衰退、そして亡国への予感 への2件のコメント