関西にて

お盆から一週間は関西にて療養と少々の仕事を兼ねて充実してゆったりした時間が過ごせた。早朝にはヨガやジョギングをする時間が持てると一日の始まりが楽しくなる。膝の具合に合わせ、ランニングの代わりにジョギングにしたが、膝の調子はなかなか好調だ。秋からの公演地の視察や打ち合わせを兼ねて、その周辺を旅したり、以前から読みたかった本を読んだり、また知らない場所の知らない鉄道に身をゆだねたり・・・・ 
この夏は「パワーオブナウ」(Power of Now)の著者、Eckhart Tolleによる A New Earth: Awakening to Your Life’s Purpose という本(邦訳なし)を楽しんだ。基本的には前著と同じ内容なのだが、また違う角度から人間の迷い、不安などを解説されると本当に納得してしまう。著者が学生時代に遭遇した体験: 通学中の地下鉄の中で常に独り言で、声を出しながら、あたかも誰かと口論しているような女性に出会う。そしてその女性とたまたま方向が一緒になり彼女が同じ大学の構内へ消えてゆくのにショックをうける。はたして声には出さないが、私たちの脳内で常に起こっている思い、計らい、心配ごととこの女性の独り言はどれだけ異質なものといえるのだろうか?つまり我々はデカルトのいう「我思うに、われあり」ということをあたかも人間に与えられた特権のように思いがちだが、実はこのように常に思い、考えにとらわれて、それ自体を自分の人生だと勘違いしていることに全ての間違いが起因しているという。「今、ここ」という現実に本当には目を向けないで生きている自分に気づくことからすべてが始まるという。何をしていても今、ここにある自分の内面に目を向けてすべての感覚にとらわれずに意識を集中するのはかなり難しいが、それができると意外に普段思っている心配やら不安が消えてゆくのは確かだ。もっともこれこそが禅の気づきの極意でもあるはずだ。
ちょうど奈良の公演予定の高校を訪ねた後に付近の由緒ある寺院を訪ねたが、やはり日本の仏教はどこか形式にこだわりすぎているような・・・こんな生意気は癒えた身分ではないが・・・仏像を眺めながらそんな思いにふけっていた。

2009-08-25 08:57 | つれづれなるままに | コメント(2)

関西にて への2件のコメント

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