子どもを侮るな

最近三歳の息子にせがまれてYouTubeで鉄道のモデル、プラレールの動画を見せることが多くなった。先日彼のテーブルに様々に連結されたプラレールが並んでいるのが目に入り、正直な感想として「まだまだ子供だな」と思ったのである。なぜなら連結した車両をみると、すべてランダムな車両が入り乱れていたからである。ドクターイエローという新幹線の点検車両を先頭に、様々な貨物、列車が延々と並び、最後にまたドクターイエローとなっていた。・・・・・ところが、ところがである。ある日ふと思って以前に彼に見せた動画をチェックしてみた。チェックしてびっくり!なんとその列車の配列がもろにその動画で見せられていたプラレールの順番きっちりの配列だったのだ!この動画が気に入って以前に何回か見せてはいるが、その順番をすべて記憶しており、それを自分で延々と再表現したのだった。凄い! 息子個人にではなく、子供の記憶力に驚いたのだ。それと大人が勝手に侮っている子供の思考の内面で起きているそれなりの論理性にだ。思えば、最近、自分の口癖がかなり忠実に真似られていることにも気づく。怖い。苦笑
そこで先日何気なく食事の際に平家物語の冒頭を口ずさんでみた。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらわす・・・」  冗談半分でやったのだが、それから三日後、彼は冒頭の有名な書き出し(「ひとえに風の前の塵に同じ」というくだりまで)をすべて空で言えるようになっている。まるでスポンジのような記憶力。驚かずにはいられない。まったく意味もわからず覚えているのだ。こちらは先ほど聞いた学生の名前ですらすっかり忘れている。たまに眼鏡をおでこにかけながらメガネを探している(涙)
ちょっと前のニューヨークタイムスの記事だと友人に伝え聞いたが、個人の言語能力は、ごくごく幼少の頃(それが理解できずとも)どのくらい高度な言語に触れたかによるという統計があるそうだ。そういえばアインシュタインら優秀な人間の多いユダヤ教徒の子供たちは、幼少のころからタルムードと呼ばれる戒律などをはじめとする膨大な聖典を暗唱するのが習わしだという。やはり潜在的にこういったものが蓄積されるのだろう。恐るべしである。良いも悪いもすべて吸収してしまう。だからこそ、今のテレビを憂うのだ。だからこそ、寄席でもなんでも練れた話芸を子どものころからきいてほしい。練れた芸をみてほしい。テレビには現在それがない。

2009-04-12 08:50 | ひとりごと | コメント

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