学びの日々

本日よりいよいよ早稲田の新学期が始まった。今年も演劇史、演劇入門に加えて、マイムの歴史と理論を担当する。 いままでブログをかなり滞らせてしまったのが心のこりだが、本当に紆余曲折、学びの連続の春休みだった。先月いっぱいまで、関西方面に滞在した関係上、出先の図書館にて時間が許す限り博士論文の審査についやし、ついに月末までに三本の最終選考論文の批評を提出。そのまま帰京し、新学期にそなえるはずだったが、突然の悲報が入り、その足で新潟へむかった。
東京経済大学教授、異文化コミュニケーション研究者、野村啓治先生。私が尊敬し、あこがれる大先輩としてその姿を自分の将来に重ね見ていたこの方と出会ったのはウィスコンシン大学であった。私の二代前にMJA(マディソン日本の会)の会長をされ、その後帰国されて東京経済大学でご専門のコミュニケーションを指導されていらっしゃったが、たまたま私の在米中に一年間ご家族をつれられてマディソンに研究のために滞在されており、ご家族ともどもお付き合いさせていただいていた。まさに理想の教師、父親、そして家族の長であったこの方の突然の他界は本当に晴天の霹靂のごとく私を打ちのめした。そしてそのお別れの会に参列させていただき、ご友人や牧師さんのお話から察せられる、私の知る以上の野村先生のご人徳、信仰心を知り、本当に胸が張り裂ける思いだった。そして信仰心の力にも改めて思い知らされた。人間は最後まで強く,そして優しく生きられるのだと。
野村さんとの会話の中で、いつか私たちは何故か同じ趣味や同じ思いをもっていることが多く感じられた。老後の自分の理想像があまりに似ていたのにもびっくりし、大笑いしたことがある。ロッキングチェアーに揺られて、暖炉に向かい、(吸えなくても)パイプをくわえながら、白い髭を蓄えて、英文学の書を紐解きながら、孫をその膝に乗せている・・・・こんな話題に盛り上がったことがあった。
野村先生、私はあなたのような素晴らしい教師、父親、そして人間になりたい。

2009-04-06 11:18 | つれづれなるままに | コメント

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