コロッセオにて

コロッセオで物思いにふけった。「マイム」の語源である「ミーモス」という言葉は古代ギリシャの時代より、おそらく一般的な役者、大道芸を含めた「演じる者」というような包括的な意味あいをもつ言葉だったといわれている。しかし、ローマ時代に入ってからナレーションや歌にあわせて無言で物語を舞う「パントマイム」という新しい出し物が起こったといわれる。ある伝説では、一人の役者が声を失い、自分の待者にせりふを言わせて、その内容を舞ったという物語が語り伝わっている。とにかく、このような円形劇場にてこのパントマイムは華やかなデビューを飾ることになる。いわゆるローマ帝政に入ってからの、一般庶民の気を政治からそらすべく頻繁に行われた「パンとサーカス」政策(出し物と食べ物の無料供給)の出し物のひとつだったのだろう。ぜひ見てみたかったのは演技者からの劇場の視点だ。コロッセオの演技舞台レベルから見た視点で写真をとってみた。これでは詳細な演技はまず観客には伝わらないだろう。したがって大きな舞が必要となるはずだ。このパントマイムは口の部分が閉じた(つまり台詞のいらない)面をつけて舞ったという。主題は神話やら悲劇などを中心とした悲劇が主な出し物だったという(一方のミーモスは主にコミカルなもの中心だった)。一時は権力者の間でもかなりの人気を博したという記録がある。
反面、このパントマイムという同名の出し物の中には、かなりグロテスクで淫猥なものもあったらしい。皇帝によっては、観客の興奮をさらに助長するべく!?本当の性行為まで行わせたり、実際の囚人を利用した処刑シーンなども演じられたようだ。しばしの間、この場所にてその展開の軌跡を思い起こしてみた。

2009-03-08 03:42 | つれづれなるままに | コメント

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