暫くもろもろの仕事に追われてブログが書けませんでしたが、実は明日からイタリアへ行ってまいります。前々から是非一度はと思っていたのですが、ついにこの機会が訪れました。演劇史を教えていて、まったく実際のコロッセオなどを見たことがないのがとても残念でした。このチャンスに演劇史にまつわる様々な場所、そしてできたらいろいろな演劇を見てきたいと思っております。イタリア語が全く分からず、英語に頼るのみ。こわい(爆) この3~4日でイタリアを題材とした映画を借りてきて毎日のように仕事の後、深夜見ながら、改めてイタリアの本を読んでおりました。
ウィスコンシンの大学院で演劇史をとった、最初の授業で教授から聞いた歴史の話を思い出しました。システィーナ礼拝堂の有名なミケランジェロの天井画などの色彩感覚について、ある有名なエール大学の美術史の権威ある教授が素朴で質素な色彩感覚を賛美していたそうです。ところが1981年から1994年までに修復作業が行なわれ天井画の埃が取り払われた結果、現れたのは当時の鮮やかな原色をつかった色彩。その教授、自らの主張を弁護する為か、なんとミケランジェロがあらかじめ歳月の経過によってかかる埃さえをも推定した上での色彩術を使ったという説をたてたとか(笑)。
それにしてもやはり驚くべきはかのミケランジェロのその創造性と執拗なまでの細部までのこだわり。そういえば、イギリスのさる心理学者が、ミケランジェロの様々な背景をリサーチした結果、彼がアスペルガー症候群か、高機能自閉症だったという結論に達したというのを聞いたことがある。そう言われると納得してしまいがちだが、はたして真相はどうだったのだろう。彼の彫刻に臨むときの言葉が好きだ。彼は、自分の使命は大理石の中にイメージを創造することではなく、その石の中に潜在する理想のイメージを見つけて、それを解放してやることだという。(HIS MISSSION WAS TO FIND THE IDEAL IMAGE IMPRISONED IN THE MARBLE AND TO RELEASE IT RATHER THAN TRYING TO CREATE THE IMAGE.)これはわが師匠が常々マイム創造の際に繰り返し言っていた言葉だった。
とにかく昨年の11月のブログにも書きましたが、初めてのヨーロッパに胸が高鳴っています。アメリカと違う歴史と文化をこの肌で感じてきたいと思っています。考えてみれば自分の師匠はイタリア系アメリカ人。師事し始めたころ、80年代初期には、彼の母親がいつも稽古場の前で日向ぼっこをしていたのを思い出します。彼女はイタリアからの移民だったのであまり英語は得意ではなかったが、とにかくその身ぶり手ぶりの凄さには圧倒されたのを思い出します。師匠のモンタナロはイタリアにてコルゲート歯磨きのテレビコマーシャルに出演していた事もあるそうだ。それもこれも過去の話。そしてそのもっと遥か過去を辿ってローマ、フィレンツェを歩いてみようと思っています。
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