メンドータ湖の夕日

朝から丸一日大学の図書館で調べ物をした後、疲れを癒しに例の湖畔のテラスに出て軽い夕食をとった。ちょうど西に傾き始めた日は真っ赤に大空を染めながら湖面に浮かぶ無数のヨットを美しいシルエットに映し出し、湖畔でくつろぐ人々の目と心を奪っていた。一日の終わりを、その真っ赤な夕日をつまみにビールで喉を潤しながらの夕食は実に命の洗濯だった。日中真っ青な空を映し出していた湖面は別人のような様相をして静かに波打ちながら徐々に暗さを増してゆく。大自然のショーの前には人間の小手先のエンターテイメントは太刀打ちできない。こんな美しい場所で5年も過ごせた事に感謝したい。しかし、だが、正直のところ実際に苦しかった日々にはこんなに自分が幸せだという事には気付けなかった。人間とは苦境の渦中にいるときは本当に目の前の美しさ、自然の雄大さに目を向けられないものだとつくづく思った。「いつかきっとこうなりたい、きっともっとこんな夢が実現するだろう。」こんなあせりで未来にばかり目を取られている自分に気付く。先日大学の目抜き通りであるステート・ストリートを歩いている時にふと目にしたポスターの言葉が今脳裏を過ぎる。いわく、 “There is no way to happiness. Because happiness is the way.” 「幸せに続く道程などというものは存在しない。なぜならば、その道程自体が幸せそのものなのだから」 今、この瞬間、これが地獄か極楽かは自分の心が決めているのだろう。実に“Power of Now” である。自分のマイムの師、トニー・モンタナロ氏の最後のアドバイスでもあった。(写真上はテラスの夕日。下はその北にあるMaple Bluffでの夕日)

2008-08-17 08:32 | つれづれなるままに | コメント

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