マサチューセッツ州ケンブリッジにやってきた。3年前、ABDの時代、初めての子育てを経験した町だ。ここからボストンの病院にいき、そして、息子の出生届けをボストンの市役所からもらい、日本の領事館に届けて、日本国籍の申請もした。
ところでABDって何?と思われる方の為に一応簡単な説明を・・・。All but Dissertationという状況をいいます。つまり博士課程において、履修科目をすべて終え、予備試験に合格し、あとは論文を書いて、口頭試問に通るだけの立場の事です。実はこれが一番つらい時期なのです。後は自分自身との戦い!!何しろ全てのスケジュールが自分次第、その日書こうが、休もうが自分の勝手。その上食べてゆかねばならない。多くの人々がこの状態で働き始め、そしてやがては論文をあきらめてゆく。自分の場合、妻がハーバードで講師をしていた関係で、ウィスコンシンから、ここケンブリッジのアパートに移り住んで、イェンチンライブラリーというハーバード大学の東アジア文献に特化した図書館に朝から晩まで篭もりながらリサーチを続けていた。(お断りしておきますが、決してこの間、妻の経済力にすがっていたわけではありません!!笑)
この期間、自分の体験から驚いた事の一つは、多くの場合日本の過去の資料(たとえば明治、大正の新聞など)を閲覧したりコピーする場合、ハーバード大学のようなアメリカの大学のほうが、日本の国会図書館や都立図書館よりも数倍効率がよいのである。日本の国会図書館は閉架式という事に加え、一度に閲覧を申請できる件数が3件まで。その上、本、雑誌、新聞、そしてそれらをコピー(これまた申請して待たねばならない!!)の場所がそれぞれに違う建物の違う階に散在しているのだ。つまり朝一番に入館して閉館まで一日中いたとしても本当に館内をうろうろしているうちにせいぜい数十件の閲覧とコピーで終わってしまい、足が棒になることしばしば。しかも今どき、コピー代は一部30円!!非効率極まりないのです。ちょうどたとえて言えば何百年かに一度「御開帳される仏像」のように、その図書館の態度は「見せてやるんだぞ」と言わんばかりなのです。一方ハーバードで例えば明治時代の新聞を閲覧しようとすると、その場所に自分自身で行き、勝手に自分でマイクロフィルムを取り出し、閲覧し、その機械で一部10セントでそのままボタン一つでコピー終了となる!!これでは日米の研究の量と質の差がでるのは当然だ!
まあ愚痴はこのくらいにして、久々に訪れたハーバード大学はいつもながら世界各国からの観光客でにぎわっていた。世界の頭脳が結集するこの学府はいつもながらにその伝統の風格を漂わせていた。(写真はイェンチンライブラリー)
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