30年前の今日

30年前の今日(ただしアメリカ時間の12月9日)、私はある事情があり、ニューヨーク、マンハッタンの街を足早に歩いていた。母校の州立大学があるビンガムトンという片田舎からグレーハウンドバスでマンハッタンは42丁目のポートオーソリティーバス停に早朝到着し、JFK空港行きの電車に乗り込もうとしていた。汗びっしょりの身体にはバックパックなど多くの荷物を抱えて走っていた。そこに街中に何かとてつもない大きなニュースが流れているのを肌で感じた。そう、どこの店のテレビも街頭のラジオもジョン・レノンの死を報じていたのだ。彼が射殺されたのを知ったのは実に現地マンハッタンだった。雑踏を潜り抜けて速足で歩くのだが、どうもこの町の緊張感は肌に合わなかった。(今の若い人々に42丁目といっても小奇麗な劇場やらおしゃれな店の並ぶ街並みしか想像できないだろうが、当時の42丁目は、特にポートオーソリティバス乗り場付近は本当に怖い場所だったのだ!!ポルノショップやらその他怪しい店が並び、娼婦たちが立ちんぼする一角。そこで衝撃的なジョンレノンの悲報!!今でもまざまざと肌で感じてよみがえってくるあのショック。おそらく脳のどこかに深く刻み込まれているのだろう。本当にニューヨークは怖かった。そして人間が怖かった。当時22歳になったばかりだった自分。空港へ向かう地下鉄の中でレノンの曲、イマジンが駆け巡っていた。そしてそれにオーバーラップするように何故か芭蕉の句が鳴り響いていた。「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」 あれから30の月日が流れた。

2010-12-09 07:00 | つれづれなるままに | コメント(3)

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