ガラパゴス化する日本の大学

先日、英クァックァレッリ・シモンズ社(QS)は、「QS世界大学ランキング」(第7版)を発表した。ベスト100の中に日本の大学は僅か5校。その中でやはり東大はトップ(24位)続くは京大(25位)、そして大阪大学(49位)、東工大(60位)、名古屋大(91位)と続く。今回の話題は何はさておき、トップの座を5年間守り続けたハーバード大学が6年目にしてその座をケンブリッジ大学に譲った事、そしてアジアで常にトップの座にいた東京大学がなんとその座を香港大学(23位)に奪われた事だ。(因みに我が母校、ウィスコンシン大学は48位)
http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/results
これに関しては様々な論点があると思う。なぜならばアカデミックな実績(たとえば論文引用数など)で言えば東大は断トツで香港大学に勝っている。しかし水をあけられたのは国際的貢献度という点らしい。評価方法は、学術評価インデックス(40%)雇用者評価インデックス(10%)外国人教員比率(5%)留学生比率(5%)教員/学生比率(20%)教員当たりのデータ引用比率(20%)というのだが、どうも外国人教員比率、留学生比率などという国際化への改革という面で相当差をつけられたらしい。
しかし、これは反面英語という言葉の言語帝国主義的覇権を後押しするようなものであるのも確かだ。それが証拠にベスト10のうち6校はアメリカの大学、そして残り4校はイギリスだった。論文引用にしても全ては英語で書かれたものしか対象になっていない。英語以外で書かれた優れた論文も数多くあるはずであるが、それは計算されていない。日本語で書かれたものも含めればそれは順位にかなり影響するだろう。しかし、この偏向した結果は悲しい現実だ。
もっとも振り返って日本の大学の状況をみるときにそれにも暗澹たるものがある。ちょうど今の週刊ダイヤモンドにも「壊れる大学」という特集が組まれ、様々な問題提起がされているが、その質の低下には目を見張るものがある。もともとAO入試という制度には多くの疑問があったのだが、少子化に向けた学生の争奪戦が激しくなるとどこの大学も短絡的にこの制度により、青田買いを始めた。一見くだらない特技であってもそれが入学許可の基準になる、その上大学講師にしてもまったくアカデミアを知らない専門バカがどうでもよいような授業を行う。いや専門バカならまだ良いが、まったく表面だけの印象で中身の無い講師の多い事か。お笑い芸人やらタレントが人寄せパンダのような役割で講師として受け入れられる。そこへ高校の基礎知識もない学生達が「得意技」一つ見せて入ってくる。これが日本の大学の現状だ。そしてこうして入って何も勉強せずの四年間がすなわちその人の生涯の評価として固定する。その後いくら大学院で努力しようが学歴ロンダリングなる言葉によって否定される。こんな言葉があるのは恐らく日本だけだろう。四年生の学部の学校名がそのままその人間の評価となる。このガラパゴス的な価値観。まさに井の中の蛙状態だと思う。(もっともこの現象も深くみれば文科省の主導した中身の薄い大学院重点化政策があり、確実に大学院レベルの低下を招いたのも事実ではある)とにかく日本の若者はどんどん外にでてこのガラパゴス化した偽の価値観を体感し自ら目覚めるべきかもしれない。

2010-09-17 03:56 | ひとりごと | コメント(1)

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