昨日は朝六時松山駅発のしおかぜ6号にゆられながら駅弁を食べ、そして久し振りに瀬戸大橋を列車で渡り、9時14分岡山発ののぞみ号で一路名古屋へ移動、そこからここ、尾張一宮へきた。なんだか最近、全国天気予報を見ていて自分がどこにいるのか戸惑うことがある(苦笑)
ホテルの部屋にこもりながら深夜の空いた時間に大学の期末試験を作成している。(ちなみにここ一宮の付近の喫茶店は実に健全で?!10時にはみな閉店してしまった。本当は穴埋め問題、しかもマルチプルチョイス(選択問題形式)でパッパッパ~と採点できるようにしたいのだが、それでは学生の実力がつかない。しかも今回は試験直後の渡米、論文発表があるので、飛行機の中の採点になる。きつい~(涙)
最近様々な会議に出席し、ことに感じるのは子供とは?という問いが盛んに議論の合間にあがってくる事だ。子供もに何を見せたらよいのか?子供用になにを?それとも子供用などない?果たして、そもそも子供とはなにか?やはり避けては通れないのがフィリップ・アリエスというフランスの中世研究家が1960年にだした「子供の誕生」(正確にはアンシァン・レジーム期の子供と家族生活)という本である。つまり大雑把に言うと、中世までは子供という概念が存在しなかったと言う事である。子供は「小さな大人」であり、労働力の一旦を担っていたのだ。アルコールも許され、大人と同じ扱いを受けた。(いやもっと正確にいうと、それができる7~8歳までに生き残ればの話だ。)それがさまざまな技術(特に印刷技術など)の発達により、文字による知識の伝承が主流になり、文字を操る大人が文字を習得しなくてはならない子供を管理するようになる。そしてそれが時代を経て、ロマン主義とともに「子供の存在」が純粋で、無垢であるという神話が創造されるようになったのだ。日本でも大正新教育の時代にはこういった概念が社会に普及し、無垢な子供を扱った児童劇、児童文学がさかんに作られるようになる。
しかし、今現在この神話は妥当だろうか?いや、子供というある時期に作られた概念はいまだに機能しているのだろうか?つくづく考えてしまう。なぜなら一般世間を見渡しても、今の情報は大人の優位性を今まで維持してきた文字的な継承が比較的すくなくなり、もっぱら映像、音楽、そしてビジュアル的なもの(漫画、アニメ)に移行しつつあるような気がする。文字にしても電子機器、つまりコンピュータなどを介した以前とは違う形態で行われている。そしてそれらのミディアム(手段)においては若者のほうが、つまり子供のほうが敏感で先取りが得意である。そうして、そろそろこういったビジュアル、電子系に馴染みながら育った「子供達」が今「大人」の世代になり、振り返ってみると子供という領域と大人という領域の境界線が多分にぶれてきている。
実際にこうした現象は身近に非常によく見られる。映画などもヒットするのは大人向けとも子供向けともいえない、よく言えば両方にアピールしているもの。宮崎アニメはその典型だ。一昔前の大人の恋愛などを扱った映画は今はあまりヒットしないようだ。そしてゲームにいたっては大人も子供も同じものを扱って楽しんでいる。いや、共有しながら楽しんでいる。漫画だってもう大人、子供の境界線はない。ファッションをみてみよう。子供のファッションは今「小さな大人」の為のブランド商品が目白押しだ。逆に大人のファッションが「子供化」している状況もある。
産業革命などから作られた時間的、金銭的「余裕」は一時子供という存在を確立し、学校という組織で子供を取り締まってきた。そして彼らに「子供らしい振る舞いや、子供らしい遊具」を作り上げてきたが、今の経済的な余裕は逆に「子供」を大人に仕立て上げる方向に進んでいるような気がする。先ほど触れた子供のファッションをはじめ、テレビのアイドルを見てみよう。中心になっているのは子供じゃなかろうか?子供が大人の振りをするのを楽しむ時代。大人が子供の振りをする時代。こんな流れの中で、果たして「子供」という概念は徐々に消えていくのだろうか。だとしたら今考えねばならない大切な事ってなんだろうか?
おいおい、今こんな事している余裕ないだろ?!論文発表まであと・・・・やばい、約二週間じゃ!(涙)
(写真はうちの小さな大人!?)
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