題名のない音楽会とブルーマングループ, そして我が息子

日曜日にたまたまつけていたテレビが「題名のない音楽会」をやっていた。しかも特集がブルーマン・グループとオーケストラのコラボによる音楽入門講座のような小粋な内容だった。楽しく、そしてリズミカルに進行する音楽解説とブルーマンのギャグのコンビネーションの構成が見事だった。本当に天晴れな内容で感心した。感心したが、それと同時に、何で日本にこのグループが来るのにこんなにも時間を要するものなのかと少々気の遠くなる思いもぬぐえなかった。
もともとこのブルーマングループは、マット・ゴールドマン、フィル・スタントン、そしてクリス・ウィンクの三人によって80年代の後半、ニューヨークの路上パフォーマンスとして始められたショーであったが、1991年1月ラ・ママ劇場でステージデビューすると、オビー賞(ヴィレッジヴォイス紙が表彰する年間の最優秀作品、あるいは俳優に送られる賞)を受賞し、同年11月には現在も公演が行われているニューヨーク大学近くのアスター・プレイス劇場に移動、その後も次々に様々な賞を受賞し、現在は三人は役員として退き、若いパフォーマーを次々に養成し、アメリカ国内だけでもニューヨーク、ラスベガス、シカゴ、ボストンなど大都市で多くの公演を行っている。(詳しくはカンジヤマが2000年に翻訳した「パントマイムのすべて」(晩成書房)の終わりに補足論文として「アメリカへのフランスマイムの導入」という文章を書いていますのでそれを参照してください)今や世界各国で長い間行われているショーだが、日本ではやっと去年の12月から六本木で始まった。実にオリジナルのステージから17年の歳月を経てである。これが何を意味しているのか、もう少しじっくり考えて見たいが、もし彼らの芸が現在のように量産体制に乗らなかったら日本に来る前にとっくに絶えてしまっていたのだろう。と、同時にいままでそのようにして見られなかった海外の素晴らしい芸がどのくらいあったのだろうか。いや日本国内においてでもある。企業の担当者の目は節穴か?それともそんなに臆病なのか?他の国がみんなでやらなきゃ怖くて呼べないのか?自分の目を信じ、自分の直感力をもち、自分の頭で考えられないのか?
まあ、とにかく、話を戻して、この番組の素敵な音楽入門は、であるからしてもともとは一介のニューヨークの路上のパフォーマーの遊び心から端を発しているのである。これが芸術の始まりなのだろう。楽しくて、面白いからやる。一歩まちがえば、ただ単なる遊びなのである。別に金儲けのためでも、名を売るためにやるのではなく、面白いからその遊びを徹底して突き詰めるのである。(この事は以前紹介した私の友人のメントス、コーラのパフォーマンスにしてもしかりである)。 そしてその遊び心をたくみに利用した音楽入門講座は抜群に楽しいエンターテイメント的要素を含んだ素晴らしい芸術教育であったと思う。こんな授業が全国で展開できたらいいなとつくづく思う。ちなみに、こんな考えを頭の中でめぐらす父親のすぐかたわらで2歳半になる息子は黙々とブルーマンのリズムに合わせておもちゃをテーブルに叩きつけながら一緒に演奏して楽しんでいた(ん~この場合テーブルが多少傷ついてもいいか・・・・汗)(写真はその瞬間をなんとか捉えたものです)

2008-03-11 01:04 | ひとりごと | コメント

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