マルソーの死

愛知の仕事の旅から帰宅すると、ほどなく共同通信社から電話が入り、マルセル・マルソーの死を告げられた。22日にパリで亡くなったようだ。享年84歳。
20世紀初頭、ジャック・コーポーによる、 ヴィユー・コロンビエ座付属の演劇学校にて自然主義によって死に絶えた身体表現を復活させるべく、身体訓練クラスを受け持ったジーン・ドーシー、そして彼の訓練法を発展させたエチエンヌ・デクルー。デクルーの身体訓練法「マイム・コーポレアル」はストイックなまでの身体の部分部分の動きの文法化を成し遂げた。しかし、それが一般大衆に必ずしも受け入れられはしなかったのも現実だ。そのマイム・コーポレアルにチャップリンなどのペーソス、キャラクターワークを応用する事によって「マイム」を一般大衆に普及させたのがデクルーの愛弟子である、マルセル・マルソーだった。かれの世界巡業によってアメリカを始め、日本でも舞台、テレビを介して一般のお茶の間に白塗りのマイムが登場するようになった。一時はマイム=マルソーと言われるほどそのキャラクターが強烈にマイムと同化するほどになる。(詳しくはカンジヤママイム訳書「パントマイムのすべて」および「おしゃべりなパントマイム」を参照ください)
最後に見た舞台はたしか2年ほど前、アメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学の劇場だったと記憶している。私自身の師匠、モンタナロ氏もそうであるが、直前まで舞台にたっているという事自体がすごいことであると思う。私の人生をマイムの道に導いてくれたのもマルソー氏であった。今は心からの感謝とともにご冥福をいのるばかりである。

2007-09-23 09:01 | 告知 | コメント(2)

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