親子で楽しめたかな?

国立演芸場特別企画、「親子で楽しむ演芸会」が無事終了した。まだお客様のアンケートを拝見していないので確実な反応は分析できていないが、自分としてはかなり満足している。帰り際にかなり多くの親子連れに声をかけていただいた。それにしても普段は見られない演芸場での各自の自主的時間調整が行われた。トリの林家たい平師匠が次の仕事場へ時間ぎりぎりということと、各演目の間での司会進行があるという条件で演者さん達の間の微妙な時間調整が行われた。我々カンジヤマも一つの作品を出番直前に割愛し、お仲入り(休憩)への入りを調整。演芸場経験の浅い弟子のカンジヤマCは今までに無い即興的な対応におどおどしながらも立派にその役割を果たしてくれた。
途中いくらかのマイナーなハプニングはあったものの全体的には及第点だと自負している。(もちろん反省点は多いが)。これからどんどんこういった、ただ単に観るだけで無い教育的な付加価値をもったショーを出来る限り多様な場所に提案してゆきたいと思っている。
しかし、それにしても驚いたのが舞台のお手伝いをして頂いた出演者の一人である、春風亭正太郎さんとのご縁。私はこの噺家さんを前々からかなり才能ある方だと思っていたのだが、実は昨日初めて知った事実に驚いた。随分昔になるのだが、20年近く前、カンジヤママイムは世田谷区深沢にある東京学芸大学附属小学校PTA主催による芸術鑑賞会にご依頼を頂き、公演させて頂いた事がある。なんとそれを10歳の正太郎少年がご家族でご覧になっていたというのである!!(嬉しいやら、ため息やら・・・・月日の重さを感じる。苦笑〉 そして何よりうれしかったのが、当時低学年であった少年がちゃんと面白い作品の最後に演じた少々難関な作品を感性で読み取っていてくれたという事。これは非常に参考になったし勇気づけられた。カンジヤマは通常どんな年齢層にも面白可笑しいマイムを一通りやったあとにちょっとだけ「背伸び」をした作品をあえて披露することにしているのだが、見事にその効果が証明されたように思われた。つまり児童、青少年を扱う演劇は通常その年齢層を対象としてその内容を全体的にわかるくらいのレベルにとどめるのだが、私たちはその一歩先にあると思われる高度な内容をあえて感性の鋭い子ども、若者たちの為に投げかける事にしているのだ。私の博士論文の核にもなった案件なのだが、子どもというものは必ずしも理屈だけで物事を理解するものではない。その無防備な感性は常に大人の世界の空気を前論理的に受け入れ、それを体感しているのだ。大人との違いはもしやするとそれらの体験を言語という枠組みに再構築出来ないだけなのかもしれない。そしてもちろん個人差はあれど、この経験は感性のするどい子どもほど後々まで心に残る事になる。正太郎さんは二十年たってもそれを見事に憶えていてくれた。さすがに鋭い感性をもった若者だ。
私の好きな心理学の概念にヴィゴツキーという学者の提唱した最近接発達領域(Zone of proximal development) という概念があるのだが、これをカンジヤマは舞台上の構成に出来る限り応用しようとしている。上記の件に関連させて明日のブログで少々解説してみようとおもう。〈さてさて、大学の期末試験採点じゃ!!苦笑)

2010-07-25 06:03 | ひとりごと | コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。