久々に映画を二本立て続けにみてきた。渋谷にて「キングコーン」というトウモロコシの行方の実態に迫るドキュメンタリー映画とイーストウッドの「グラントリノ」。両方とも見ごたえのある映画だったが、特に最初のキングコーンはアメリカの中西部でなじみの深いトウモロコシ畑になる何十万キロという膨大な量のトウモロコシが生産者の手を離れてからどんな形になって人々のお腹に至るのかを追ったものだった。驚くべきことに、今私たちの細胞のほとんどはトウモロコシのDNAで成り立っているという(少なくともアメリカ人は!!)それほどに細部にわたりこのトウモロコシが日常生活に微細な形に姿をかえて浸透しているのだ。たとえば牛肉。今までに狂牛病などは注目を浴びているが、実際に健常な牛でさえ様々な問題を抱えていることに驚嘆した。つまり過去には牛は放牧の中で草をたべながら生きてきたのだが、実際今現在の牛たちはそのほとんどの食料がトウモロコシでできているという。そしてこれをある一定期間以上食べさせ続けると、その牛たちはストレスのせいで胃潰瘍になるとか・・・・いわんや胃潰瘍にならなかった牛でさえ、その肉の成分は飽和脂肪酸(Saturated fat)で満ちあふれているという。つまりもう自然の食物体系でそだった牛は少なくともアメリカでは希有な存在らしい。その代り大量に廉価に生産できる、まるで物のように・・・・それがマクドナルドやその他のファストフードのハンバーガーとして廉価な肉がでまわるようになっている理由だという。これなら人間のDNAがトウモロコシでなりたっているのが納得できる(苦笑)。
あるいはその姿をかえたもうひとつの例として、一般的なソフトドリンクに使われている甘味料として、いわゆるコーンシロップと表示されるものはすべてこのトウモロコシを化学薬品などで調合したものだという。その種類の多さにもびっくりだ。ほとんどの加工食品の甘味料に使われている。そしてその代表例がソーダ類の甘味料であり、毎日のようにソーダを飲むアメリカ人の腹に浸透し、肥満の大きな原因になっているという。だいたい化学肥料と大量の化学農薬による大量生産したコーンの種類はそのままでは食べられたものではないらしい。本当にまずいのだ!!実際に作っている農家が一切自分たちの生産したコーンをたべないと平気でいっていた。
・・・と視点は一転して、日本に於ける私たちの日常でのケースになるのだが、この映画をみていて感じたことがたくさんあるのだが、その一つはこれだ。たとえば自動販売機が金銭的に儲かるからと言ってそれを経営している人々がこのコーンシロップの弊害をどのくらい認識しているだろうか。資本主義の世の中では物の価値はそれが如何に金銭として蓄えられるかのみに主眼が置かれているから、これらの弊害について真面目に考える人は少ないと思う。しかし、今マスコミで言われている自己責任を裏返せば、逆に人に物を提供する立場から言えば、自己義務というものの考え方が生じて当然なのではと思ったのだ。自分たちが提供する品物、あるいは概念が他にどのような影響を実際に及ぼすのかをしっかりとどこまで認識しているかという問題だ。自分たちが気軽に「もうかるから」と設置した自動販売機で売られるソフトドリンクがその成分によってこれからの若者の身体をむしばむという事実をしっかりと認識しないとならないと思う。そんな思いが込み上げてきた。他人ごとだからとたかをくくっていると、それが巡り巡って自分に返ってくるのは確実だ。
何もこれは製品ばかりではない。最近無責任な芸人がマスコミ上、あるいは、コンサート等で無責任な発言やら風刺をしているのに腹が立つことがある。いったい自分がしている芸が受けるからという理由のみで全く深い思慮を欠きながら無責任にその芸を売ろうとしていることがどのくらい罪深いことなのか。自己責任に対する自己義務。これは本当に規制できない事であるからに余計に難しいことだとおもう。自らをも顧みながら映画の最中にこんな事を本当に感じた。それにしても恐るべしトウモロコシ!!
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