産経新聞 1994年1月17日より

カンジヤマ・マイムは、一九八五年、アメリカ・メーン州で、トニー・モンタナロに師事した、藤倉健雄(カンジヤマB)が結成した。アメリカ衆海岸での公演から帰国後の国内公演にいたるまで、全国の劇場、テレビなどで帽広い活動を行っている。「欧米では、たくさんのマイム関係の本が出ているのに、日本にはなかった。文献や資料については学生時代から集めていたので、二人で協力して、半年くらいの間に一気に書き上げました」(カンジヤマB) 約二百ページとなる本の副題は、「パントマイムの基本から応用まで」とつけられ、写真を多く取り入れた、入門書として最適な内容。マイムの歴史についても、古代の発生から、近代のエチエンヌ・ドクルー、ジャン・ルイ・バロー、マルセル・マルソーらまで、わかりやすく番かれている。 日本ではヨネヤマ・ママコの存在はあるものの、マイムは、演劇、舞踊、演芸などの間で、はっきりとしたジャンルとしての認識は薄かった。そのため、「『マイム』のタイトルで、内容はパントマイムではなく演劇の技術の本が先に出てしまいました」という。 カンジヤマ・マイムは、マイム体操、オノマトペマイムなどのほか、松尾芭蕉「奥の細道」や種田山頭火の俳句を視覚化するなど、ユニークな演目を発表している。これらの舞台活動に加え、日本初のマイム本を出せば、一般のマイムに対する見方も少しずつ変化していくだろう。